挨拶(冬)
初冬のある日曜日の午後。気分転換に、いつものお気に入りの雑木林へ。 枯れ葉の絨毯が敷かれている小径に入ると、木々の隙間からは初冬のやわらかい光が射し込んでいる。時折、梢を渡る風にクヌギの枯れ葉が数枚「はらはら」と私の肩に…
初冬のある日曜日の午後。気分転換に、いつものお気に入りの雑木林へ。 枯れ葉の絨毯が敷かれている小径に入ると、木々の隙間からは初冬のやわらかい光が射し込んでいる。時折、梢を渡る風にクヌギの枯れ葉が数枚「はらはら」と私の肩に…
年を重ねたせいか、寒い夜は夜具の中に湯たんぽを忍ばせている。数年前までは、電気毛布や電気あんかで温めていたが喉が渇いてしまい何故か体に合わないようだ。 昔懐かしい湯たんぽに替えてからは、柔らかな温もりからか寝苦しさを覚え…
朝5時、外はまだ暗い。始発電車の音がいつもと違うのに気付く。 「雪かな。・・・・・・・・」なんとなく、遠くで聞こえるような、透き通った響きである。「雪かもしれない。・・・・」降る雪に音が吸収されてしまうからである。 私は…
元旦。世紀末の新しい年明け。また、母の百ヶ日法要の日でもあった。 いつもの年なら、朝から家族で新年を祝い神社に初詣るのだが。今年は喪中なので祝い事を控え、外の賑わいをよそに何もせずにただ”ボォ-ッ”…
「な、なに、これっ!」妻の甲高い声が台所から聞こえてくる。隣の部屋にいる私はその一声で一瞬焦った。「ドア開けんなよ!」私はすかさず言ってしまった。私は自分の部屋のドアを閉め雨戸も締め切って部屋の中を真っ暗にし、撮り終わっ…
2000年師走。20世紀もあと残すところ数日。新世紀を迎えるための大掃除。別に新世紀まで持ち出す必要はないのだが。 掃除も一段落、私はし終えたばかりの部屋でコタツやぐらに座り込みコ-ヒ-を飲みながらテレビを何気なく見てい…
広いレンゲ畑に寝ころび、五月の風の薫りを楽しみながら空を見る。果てしない空に、何片かの雲が浮かんでいる。 私はまどろみながら雲に問いかける。 雲よ、お前はもくもくと湧いてきたかと思うと、いつの間にか消え去ってしまう。そし…
“ザック、ザック、ザック”黄金色に輝く稲田に、時折、腰に手をやりながら、ムックリと背を伸ばす。歯切れの良い音が止まる。「さぁ-て、一服するべぇ!」遠くから、手拭いで”ほっかぶりR…
子供たちの夏休みが終わろうとする頃、私は夢にうなされることがある。もう30数年前の事であるが、夢の中では鮮明に甦ってくる。それは、私が5,6年生の夏休みの終わりの頃の思い出である。 夏休みに入ると朝9時のころから夕方4時…
今年の冬は例年になく厳しい寒さで老体に堪える。正月気分にどっぷりと浸かっていた1月も来週は終盤週。 昨日、1月12日は旧暦でいう旧の正月でした。新暦の今は12月31日が大晦日でしたが旧暦では1月11日が大晦日。 親父とお…