缶けり(春)
私の寝床に潜り込んでいた飼猫の”ミ-”ががさがさする音を聞き寝床からのっそりと抜け出して、台所へ駆けて行った。“ミ-”は妻の足元に纏わり付き、餌がほしいのか”ミ…
私の寝床に潜り込んでいた飼猫の”ミ-”ががさがさする音を聞き寝床からのっそりと抜け出して、台所へ駆けて行った。“ミ-”は妻の足元に纏わり付き、餌がほしいのか”ミ…
初冬のある日曜日の午後。気分転換に、いつものお気に入りの雑木林へ。 枯れ葉の絨毯が敷かれている小径に入ると、木々の隙間からは初冬のやわらかい光が射し込んでいる。時折、梢を渡る風にクヌギの枯れ葉が数枚「はらはら」と私の肩に…
年を重ねたせいか、寒い夜は夜具の中に湯たんぽを忍ばせている。数年前までは、電気毛布や電気あんかで温めていたが喉が渇いてしまい何故か体に合わないようだ。 昔懐かしい湯たんぽに替えてからは、柔らかな温もりからか寝苦しさを覚え…
朝5時、外はまだ暗い。始発電車の音がいつもと違うのに気付く。 「雪かな。・・・・・・・・」なんとなく、遠くで聞こえるような、透き通った響きである。「雪かもしれない。・・・・」降る雪に音が吸収されてしまうからである。 私は…
元旦。世紀末の新しい年明け。また、母の百ヶ日法要の日でもあった。 いつもの年なら、朝から家族で新年を祝い神社に初詣るのだが。今年は喪中なので祝い事を控え、外の賑わいをよそに何もせずにただ”ボォ-ッ”…