老木の春(八重桜の想い出)(春)
「あの八重桜、どうしたかなぁ~。」「丁度今頃、咲き始めるんだよなぁ~。」そんなことを呟き、五月の風を受けながら車を走らせる。 周りの山々は淡い緑と言うよりも白に近い芽吹き色に輝き、斑に見える黒木山と眩しいくらいのコントラ…
「あの八重桜、どうしたかなぁ~。」「丁度今頃、咲き始めるんだよなぁ~。」そんなことを呟き、五月の風を受けながら車を走らせる。 周りの山々は淡い緑と言うよりも白に近い芽吹き色に輝き、斑に見える黒木山と眩しいくらいのコントラ…
自分の殻に「じぃ-っ」と閉じこもり長かった「冬」からの脱皮。なにもかもが歓喜にあふれ、躍動の季節の訪れである。「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 私の心は、早春の岸辺の枯れ葦の中にいる。「そぉ-っ」と竿を出す。…
暑っ~い。連日、35度を越すような猛暑。午前中に用事を済ませ、昼飯を食べ終えると窓を全開にした部屋でゴロリと横になる。籐の枕を置き、窓側に置いた扇風機を60分にセットする。暑い中でも心地好い風が眠気を誘う。 「おとうさん…