現像てんまつ記 その二(秋)

遠い地平線が消えて深々とした夜の闇に心休めるとき遥か雲海の上を音もなく流れ去る気流は弛みない宇宙の営みを続けています。満天の星を戴く果てしない光の海を豊かに流れ行く風に心を開けば・・・・・・・ 「ミスターロンリィー」この…

囮(おとり)(秋)

「知花、こっちへ来てみろ。」「お父さん、何なの!」「あれ、見てみろ。」きのう、みかんを半分に割って置いた餌台に目白が2羽来て啄ばんでいる。おそらく”つがい”であろう。娘は起きたばかりで、目をこすりながら見ている。「あれっ…

山の分校(秋)

妻と娘と連れ立って、秋の休日”もみじ狩り”に出かけた。いつもの道は渋滞していたのでちょっと遠周りだが昔通った山際の裏道を行くことにした。 「お父さん、止めて!」 娘が突然、指をさして言った。見ると楓やブナの秋色に彩られた…

稲刈り(秋)

“ザック、ザック、ザック”黄金色に輝く稲田に、時折、腰に手をやりながら、ムックリと背を伸ばす。歯切れの良い音が止まる。「さぁ-て、一服するべぇ!」遠くから、手拭いで”ほっかぶり&#82…

イナゴ採り(秋)

「母ちゃん、明日学校でイナゴとりやんだから、袋、縫っといとこれね。」そう言いながらカバンを背負って急いで朝の集合場所へ駆けて行く。お寺の入り口の白門、何人か来ていた。「やっちゃんも明日いなごとりだんべぇ。」「袋縫ってもら…

雑木林/エッセイを開設

雑木林/エッセイを開設しました。雑木林には春夏秋冬の幼い頃の懐かしい想い出を綴っています。今までに公開したエッセイの中からお気に入りのエッセイを改めて公開したいと思います。