奥の細道

殺生石は温泉の出る山陰にあり。
石の毒気いまだほろびず。
蜂蝶のたぐひ真砂の色の見えぬほどかさなり死す。

曽良随行日記

十九日 快晴。予、鉢ニ出ル。朝飯後、図書家来角左衛門ヲ黒羽へ戻ス。午ノ上尅、湯泉ヘ参詣。神主越中出合、宝物ヲ拝。与一扇ノ的躬残ノカブラ壱本・征矢十本・蟇目ノカブラ壱本・檜扇子壱本、金ノ絵也。正一位ノ宣旨・縁起等拝ム。夫ヨリ殺生石ヲ見ル。宿五左衛門案内。以上湯数六ヶ所。上ハ出ル事不定、次ハ冷、ソノ次ハ温冷兼、御橋ノ下也。ソノ次ハ不出。ソノ次温湯アツシ。ソノ次、温也ノ由、所ノ云也。 温泉大明神ノ相殿ニ八幡宮ヲ移シ奉テ、両神一方ニ拝レセ玉フヲ、

湯をむすぶ 誓も同じ 石清水   翁

殺生石
石の香や 夏草赤く 露あつし