気になるあの木(秋)

雨上がりの帰り道、緑化祭の会場跡地に寄ってみた。
今まで立ち入り禁止であったが、柵がすでに取り払われている。
ゲ-トもすでに取り壊され、撤去された看板などが無造作に置かれていた。

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いつものおきまりの散歩コ-スを歩いてみた。
夜8時であるし、雨上がりなので誰もいない。
歩道には雨に濡れた落ち葉が散乱していて、靴底にまつわり付く。

所々に街灯があり、色ずき終えて今にも散りそうな木々の葉っぱがほのかな明かりに、寂しそうに浮かび上がっている。
途中に太くて大きなケヤキの木がある。
見上げると青々としていた葉も落ち始め、雨に打たれて残った葉が冷たく光を放っている。

そして、横を見上げるとライトに映し出された博物館が、私を「こんな所で何をしている。」
と言わんばかりに大きく立ちはだかり私を威圧している。
いつも見慣れているのだが、雨上がりの無人になった建物は、今日は異様に感じる。

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気になっていたリンゴ並木に行って見る。
街灯はついておらず、ほの暗い並木道を歩いてみる。
中央帯にある植え込みは、半月前まで互いに咲き誇っていた花々も花を落としてしまってひっそりと静まり返っている。

両側のリンゴ並木といえば、たわわになっていたはずの赤い実はすでに無くリンゴの木だけが雨上がりの暗い空にうっすらと映っていた。
暗いリンゴ並木に腰を下ろし、暫し瞑想する。
半月前の華やかで活気に満ちた木々や花々の盛装した中での子供たちの喧騒が頭を過ぎる。

「かさっ」。
はっと我に返り辺りを見渡す。誰もいない。
足元には、枯れたマロニエの葉が一枚寂しそうに落ちていた。

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※ 栃木県下都賀郡壬生町で開催された第17回全国都市緑化栃木フェア「マロニエとちぎ緑化祭2000」の想い出。