初夏の高原を覆っていた乳白色の霧のベ-ルが息を吹き掛けたかのようにゆっくりと透明度を増してゆく。
山の稜線の木々が、上から下へと乳白色・淡い緑、そして濃い緑へと自然のグラデ-ションを作っていく。
「風の仕業」
霧に浮かび上がる一本の白樺。
梢では求愛するかのように、透き通った声で野鳥が囀り合っている。
霧がゆっくりと流れている。
私の目の前にあるレンゲツツジの鮮やかな赤が乳白色に色あせてくる。
そしてダケカンバの間から聞こえていた渓のせせらぎまでも打ち消すように霧のベ-ルは覆っていった。
「風の仕業」
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