春の雪(春)

夕刻より、雨が雪に変わった。

昨日まで、五月下旬の陽気であった。

庭の白い木蓮は、樹一杯に白い花を着け、青空に眩しいほどに輝いていた。

いつもは、庭にある枝垂れ桜が花をつける頃、桜も開花するのだが、今年は桜の方が早かった。

鉢植えの藤の新芽も大きく膨らみ、なにもかもが春の到来を待ちわびていた。

「春だなぁ-」

昨日まで感じていた。

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が、しかし、今は雪が降っている。

体感は、そんなに寒いと感じない。

木々にとっては、至極迷惑な雪なのだろう。

白い木蓮は、翌日には白い花びらが、醜い茶に変色して皆落ちてしまうだろう。

しかし、桜だけは雪を喜んでいるのかもしれない。

それは我々に、優雅な姿を少しでも長く見ていてもらえるからかもしれない。

明日からまた暖かくなる。

週末には、桜も雪をかぶったように盛装した散り際の優雅な姿で、我々を楽しませてくれるだろう。

「..........」

雪は、まだしんしんと降り積もっている。