懐かしいエッセイ 春

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上南摩にて

五月の風に掲載しているエッセイ集の再編がまだ終わりそうもない。
再編してUPするまでには時間が掛かりそうなので、春の雑木林から抜粋して掲載してみました。
上は、鹿沼市上南摩地区で撮影した写真でエッセイに合わせて載せてみました。
春の芽吹きに合わせてご婦人たちが木の芽取りに来たようです。

早春
自分の"殻"に「じぃ-っ」と閉じこもり長かった「冬」からの脱皮。
なにもかもが歓喜にあふれ、躍動の季節の訪れである。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」。
私の心は、早春の岸辺の枯れ葦の中にいる。
「そぉ-っ」と竿を出す。
水面を這う"目印"を目で追いながら、淵の"たるみ"で目が止まる。
「ククゥ-ッ」と、確かな感触!
一瞬、心臓の高鳴りを覚える。
弧を描いた竿は、私と"それ"に親しみさえ感じさせてくれる。
「山女魚だ!」
"それ"は、体に珠玉を散らしたような"サビ"の抜けきった非常に美しいものであった。
「まだ小さいなぁ-!」
一人呟きながら 「早く大きくなれよ!」 と、流れに戻す。
そして"銀鱗"をひるがえしながら、自分の居場所へと帰っていく。
そんな小さな出会いの出来る春の訪れである。
(春の雑木林より)

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