ひまわり
野原一面を黄色く染めるヒマワリ。
夏の強い日差しを浴び、鮮やかな黄色い輪郭が浮かび上がっている。
どれもがギラギラと照りつける夏の太陽に顔を向けている。
丁度、熱弁を揮って語りかけている指導者に耳を傾ける群衆のようだ。
二十歳の頃、映画館で観たあの懐かしい映画 ひまわり を想い出す。
ソフィアロ-レン、マルチェロマストロヤンニのあの映画 ひまわり。
戦争で引き裂かれた夫婦愛の悲哀。
スクリーンを埋め尽くす果てしないひまわり。
シベリアの大平原の丘に果てしとなく咲くひまわりの中を彷徨うあの光景が
BGMの憂愁のメロディーと共に思い浮かんでくる。
私は、熱い空気を漂わせ強い草いきれを発しているひまわり畑の中。
そして、
ヒマワリの群衆の中にいる私の頭上を微かに吹き渡る風がひまわりの
大きな花びらを静かに揺らしていた。
(夏の雑木林より)
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